秋深まるこの時期の食卓を飾る、旬の味覚のひとつ秋刀魚。その秋刀魚に欠かせないものといえば「すだち」! 徳島県が誇る特産品のすだちの生産は神山や佐那河内などで盛んですが、『大麻はん(大麻山)の見えんところでは「すだち」は育たん!』という古い言い伝えがあることをご存知でしたか?
‟大麻はん”は鳴門にある大麻山。つまり、そのような言い伝えがある鳴門はどの地域よりも先に「すだち」と深い関係があったのでは!? そこで今回は、大麻山のふもとに鎮座する大麻比古神社に注目。「すだち」の古木があるという情報もキャッチしたので速攻、神社に行ってきました!
圧巻! 立派すぎるご神木の楠
大麻比古神社は大麻比古大神と猿田彦大神という二柱の神様が祭られており、方除け、厄除け、交通安全の神として信仰されています。さらに、阿波国の一の宮で阿波国と淡路国の総産土神とのこと。何だか難しいことは分かりませんが、とにかく徳島県だけではなく現在の淡路島の地域にも影響のあるとても立派な神社ということでしょうか。
実は、鳴門に1年以上住んでいるものの第一番札所が鳴門市内にあるという事実を最近知りまして。そこまで神社に関して強い興味がありませんでしたが、こちらの神社、本堂へ続く階段を登っていくとただならぬパワーを感じられるご神木に圧倒! すぐさまこちらの神社のファンに!
樹齢はおよそ1000年で周囲は約8メートル。トトロが出てくるのは?な~んて思えてくる力強い幹の部分。枝など曲線になっていたりと千年以上生き延びた生命力の凄さを実感。見ているだけでパワーがもらえそうなご神木にしばらく釘付けになりました。因みに、ご神木の裏側には「歯固め石」の納所があります。
いよいよ拝殿へ。「すだちの木」を探せ!
圧巻のご神木を背に拝殿へと進むと向かって左側にすだちの木を発見できました。想像よりもこじんまりしていたので、すだちの木じゃないかもと心配になり神主さんに聞いてみたところ、すだちの木で間違えないとのこと。しかも、ほかにあと2本あり大麻山にあったすだちの木を移植したものだそうです。
境内にある合計3本あるすだちの木。この日は一本だけに「すだち」が実っていました。大麻比古神社の「すだち」ということでどこか厳かな雰囲気を感じました。みなさんも来られましたら3本あるすだちの木を探してみてくださいね。
大麻山口の手前にあったものとは?
大麻山の麓には本宮があり大麻山の頂上には奥宮があり神域が4万坪もあるそうです。徳島県一の大社という所以がよくわかりますね。拝殿の横から山へ続く登り口があったので、ほかにもすだちの木がないか探しに大麻山口まで歩いてみることに。すると、歩いてすぐにすだち畑を発見! 収穫後のようでしたが、ほかにも2か所ほどすだち畑がありました。大麻山は標高538メートルあり山頂まで90分ほどの道のりです。これからの時期、紅葉を楽しみながら登ってみるのもステキですね。
まさか海の街である鳴門と山の恵みである「すだち」が関係していたとは。 もしかして大麻山には「すだち」の神様が宿っているのでは?今回、大麻比古神社へ行くきっかけとなった『大麻はん(大麻山)の見えんところでは「すだち」は育たん!』という言い伝え。いつ誰がどのような理由で言ったのかまでは分かりませんでしたが、大麻山にはすだちの木があることは事実であり、大昔はもっとたくさんすだちの木があったのかも知れません。そんなことを考えながら山を眺めていると、大麻山が鳴門だけではなく徳島全体のすだちを見守っているように感じました。
11月1日こそ、大麻比古神社へ行こう!
一年で最も大切とされる大麻さんの秋祭りが毎年11月1日に開催されています。午後2時から大鳥居のそばの御旅所まで、約1キロの参道を氏子に担がれた神輿を先頭に、装束をつけた大勢のお供が行列をなすそうです(大麻比古神社HPより)。あの立派なご神木が見守る中、厳かに執り行われるのだろうとなぁと想像するだけでも楽しくなります。一年に一度の貴重なシーンをあなたも観に行きませんか?
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おまけ:ポケットに‟あま~いすだち”を。
今回は「すだち」繋がりということで、紅葉散歩のお供にぴったりなすだちの和三盆をご紹介。知り合いから鳴門の老舗和菓子屋さん「鳳月坊」の鳴門っ娘をいただいてから、あまりにも美味しくて月に数回ゲットして楽しんでいます。こちらの「すだち三盆」(540円)はたまたま発見して即購入。優しい和三盆の味わいと遠くで感じるすだちのバランスが優れているお菓子です。何よりもすだちの形をしていてとても可愛いですよ。
「すだち」に所以がある大麻山へ行かれるときにもぜひ、甘いすだちをポケットに忍ばせて紅葉を楽しんでください。
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